宗教真理アカデミー

メールマガジン007号(2005/6/19配信)

西野流呼吸法の「華輪」のススメ


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<宗教真理アカデミー>

 【メルマガ第7号】 タイトル 西野流呼吸法の「華輪」のススメ



 昔からよく言われる 「調身⇒調息⇒調心」 という三段階の身心チューニング法を皆様にお教えしお勧めすることは、霊性修行として実に有効であるし、その教示が可能なので、実際にやって行くことが務めだと考えるようになりました。

 「基本行法の大枠」は、
(1)調身法としての西野流呼吸法の「華輪」動作・・・万人に推奨
   あるいは、その他のハタ・ヨーガ的なストレッチと柔軟性向上。
    ⇒これには『パタンジャリのヨーガ・スートラ』の解説を含む。
     瞑想行と五密の訓練としての、歩け歩け運動。山登りは特に推奨します。
(2)調息法としての「如来力呼吸法」
(3)調心法としての「般若ヨーガ(ジュニャーナ・ヨーガ)」

です。

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以前、「冷え性」に悩む人がおられたので、以下のように答えたことがあります。

・・・まず、冷え性というのは、私は医者ではないですから医学的にどうこうは言いませんが、私の知識では、「冷え性は運動不足による身体の退化の一症状」という位置付けになります。というのも、運動不足の生活が長く続くと、身体には細かい毛細血管が縦横無尽に張りめぐらされていますが、その枝葉的な一番先端の毛細血管が短くなって行き、毛細血管が退化して、少なくなって行くからです(運動不足で血流が弱いので先端にまで行き届かない状態が続くことが原因ともいえます)。丁度、樹木は根を大地の中にはりめぐらして養分を吸い取りますが、そうした根の先端がどんどん短くなって行くようなものです。このように身体の末端部分の毛細血管が退化して来ると勿論、血液が末端部分に充分行き渡らなくなります(というか分量が減ってしまいます)。そうして酸素も不足してエネルギーも不足して来るのです。
また、身体が堅いということは、身体の「可動範囲が狭い」ということで、堅い部分は曲げたり伸ばしたりできないわけですから、「伸縮できない⇒固まっている」ということを意味し、伸縮できれば血液循環も脈動と共にスムーズに行われるのですが、途中の部分が堅いと、血行が著しく阻害されるのです。それゆえ、血液・酸素・エネルギー・温熱が充分行き渡らないために、冷えて来るのです。
ハタヨーガでは、「死人は死後硬直する。赤ん坊はその反対に柔軟この上ない身体をもっている。よって、死に近づくほど身体の硬直性は増すもの。ということは柔軟性を保持すれば若さも保てる・・・」というように教えられることもあります。一理ある、というか、6理か7理ぐらいあります。

ちなみに、「気」も神聖パワーも、エゴの緊張と硬直の部分ではその通行流通が阻害されることが知られています。

ということで、貴方が本当に冷え性であるならば、それは長年の生活の結果の習慣病ですからすぐには治りませんが、毎日少しずつ早歩きのトレーニングをして汗をかくこと、また少しずつウォーキングやジョギングを交えてその距離を伸ばすこと・・・そうしたことを毎日積み重ねることで、血流を活発にして、血行をよくし、そうした運動によって身体自体が毛細血管の成長を要求するように仕向けることで、毛細血管も徐々に成長拡充して全身の血行がよくなるのです。

  冷え性を克服するには、一日10キロ程度、毎日「早歩き」し、それが慣れてきたら、早歩きは省略しても、ウォーミングアップしたあとで、「毎日3キロ程度のジョギング」することが一番の早道でしょう。その他、水泳でも太極拳でもハタ・ヨーガでも、なんでも、積極的に身体を動かすものならよいので、健全な運動をとにかくやるようにしましょう。
但し、疲労は溜めないようにしましょう。充分の休養も大切です。
(運動時、活性酸素が発生することも知られており、やりすぎは身体の細胞を損傷させ各種の病気を引き起こす原因にもなりうるからです)

先日、ラマナ・アシュラムに滞在している鈴木さんのことを宗教会議室に書き込みましたが、彼の滞在記をみると、
ラマナ・マハリシも、アルナーチャラ山の巡回行(一周13キロ程度)を推奨しており、「これだけで充分だ」とさえ述べたということです。そのぐらい、歩くこと(早歩きの方がよい)は重要なのです。

さて、一つの知識ですが、そもそも、中国に禅を伝えた達磨大師(インド人)は、「面壁九年」といって、九年間も壁と対面する形で禅の瞑想をしていたと伝えられるのですが、大悟した彼が、弟子の中国人たちに禅を教えたわけですが、弟子たちの瞑想は全然ダメだったのです。達磨大師の禅は、禅を長年やり続けても・・・足が衰えず、身体も強壮で力強いものであり、胆力も充分でした。目つきも絵ではギョロッとしていて気魄に溢れています(但し、達磨大師の肖像画が単なる想像で書かれたものかどうかは知りません。まあそれはどちらでもよいです)。
弟子たちの瞑想が虚弱で
「呼吸法も胆力も全然成っていなかった」
ので、達磨大師は彼らに武術で身体を強壮にする術を伝授したと言います。それが少林寺拳法です。恐らく、少林寺拳法こそカンフー(功夫)=中国武術の根源だといえましょう。少林寺拳法の影響で、これを習った人々が更に工夫を凝らして、多数のカンフーが派生しました。太極拳や酔拳や八極拳、蟷螂拳や食鶴拳、形意拳、大気拳 等々です。(恐らく仙道にも派生しています)
真のカンフーでは、「気」を重視します。これは達磨大師からの伝承を引き継いだものといえます。中でも、大気拳というのは、大ヒット漫画ドラゴンボールの主人公・孫悟空がカメハメ波とかの名称で「気」を噴射して相手を倒す技がありますが、これは単なるマンガではなく、それが実際にできる中国武術、太気拳から取ったもののようです。
太気拳は、マンガほど凄くはないでしょうけれど、相手に触らずに、「気」を発するだけで相手を吹き飛ばす技法をメインにするものと言われます。

この太気拳の唯一の日本人伝承者に拳聖・澤井健一師という方がおられたのですが、西野流呼吸法を創案した西野さんは、クラシック・バレーのトレーニングと合気道の修行をずっとやってこられ、ある時、合気道の奥義に達し、「気」を物凄く発することができるようになったのですが、そこで、この大気拳伝承者の澤井健一師に直接面会したそうです。そして、澤井師も西野さんにの達成具合には驚嘆なさり、太気拳の免許皆伝を授けた、とも言われます。
澤井師の太気拳についてのHPはこちら。

私のプロフィールでも西野流呼吸法に少し触れていますが、私は西野ビルに数カ月通って実際に確かめたりもしました。
西野流呼吸法は素晴らしい技法です。
そういうわけで、西野流呼吸法の公式ホームページはこちら。
http://www.nishinojuku.com/

その「Do!西野流呼吸法」という項目を開けると、「足芯呼吸法とは」という解説があるのでみて下さい。これは、実は、呼吸法というより正しくは「気功法」なのです。達磨大師の少林寺拳法から綿々と伝えられて来たであろう呼吸法であり気功法であるところの「気の練り方」と共通しています。
(実際、禅寺の有名な住職が西野さんに出張で来てもらって西野流呼吸法を習っているのがテレビで放映されたこともありました。)

そして、今回私が大いにお勧めするのが、西野流呼吸法の基本行法の一つであり、入り口でもあり出口でもある「基本型の基本」である「華輪(かりん)」という動作です。
具体的動作はこちら。「華輪」の部分をクリックして下さい。
http://www.nishinojuku.com/do/do_top.html

この「華輪」という動作は、両手の「放鬆(ほうしょう)=力を抜いて放つこと」という「陰」の状態で、両手が身体にまとわりつくようにします。そうすると、上半身は「脱力した陰」の状態で、その腕が身体にまとわりつく可動状態を徐々に広くして行きますから柔軟性が増大し、ますます柔らかくなり、硬直状態の「コリ(凝り)」がほぐれて、血行がよくなって行きます。また同時に、両手は力を抜いていますから、両手を振りまわすには、両足、それも足芯(=足の親指の付け根部分)を杭(くい)のように地面にねじりこむ感じで行ない、そして、曲げた膝のエネルギーも加わり、それらの「下半身の力主導」(これは陽)で、背骨を中心棒にして身体を回転させ、その回転の「遠心力」だけで、両手を「放鬆状態」のまま、ふりまわすわけです。
そうすると、身体はねじる力と、柔軟にゆるめる力と、下半身(=下盤)の功夫(クンフー)というように、陰と陽がバランスよく働きながら、「気をめぐらす」運動になります。
この運動はやればやるほど、身体の気がめぐって行きますし、ゆがみも是正されて行きますから、まことに優れた行法です。
肩甲骨部分も、縮んだり伸びたりするので、柔軟性と血行が促進されます。
また、気功法になっているので、この行法は自然呼吸のままでよいのですが、身体に気がめぐり、身体が温まってくると、「幸福感」が湧いてくることでしょう。
ですから、これは「おだやかな陽の行法」といえます。しかし、上半身の柔軟性という点では陰の要素を含んでいて、肩に力が入った怒り肩になることも防止され、自然に丹田が練られてくるというメリットがあります。

以上の点から、「冷え性」にもとても効果があります。これを5分、10分とやると、身体が温かくなるからです。(但し、完全な冷え性克服のためには上記のように毛細血管の拡充が必要です)

身体の硬直性は、呼吸の「浅さ」を生みます。つまり、胸式呼吸になり、深い腹式呼吸にならないのです。その意味でも、身体の柔軟性は重要なのです。浅い呼吸では酸素も行き渡らず、精神も不安定になり苛立ちが募る状態になってしまいます。深くて長い呼吸を体得するには、西野流呼吸法は絶好の行法です。


西野さんは、合気道の求道中、この「華輪の動作だけ!」を延々と長時間やることで、気の奥義に達したとも言われています。
それほど、すばらしい基本中の基本の「気の錬成法」なのです。
是非、皆様に愛用してほしい基本技法です。

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ところで、宗教真理アカデミー会議室での投稿「普遍的な祈り」で紹介した画僧上野さんについて、彼はヨーガをやっていただろうはずなのに、なぜ癌で死んでしまったのですか?、という素朴な疑問を戴きました。
中村天風さんは当時死の病の治療法を求めて世界を渡り歩き、カイロで偉大なインドのヨギ・カリアッバ師に出会い、ヒマラヤ奥地で暮らすことで病をヨーガで克服して、日本に戻って教えを説いたという経緯があります。
http://www.geocities.co.jp/CollegeLife/3860/biografias/tempu.html

このように、上野さんも天風さんのようにカリアッバ師のヒマラヤのアシュラムで真のヨーガを正しく実践したならば、病という身体的不具合を克服することは可能だったと思いますが(勿論、実際は無理な話ですが)、とにかく、単に机上でヨーガの勉強や研究をしただけでは駄目だということは明白です。
ヨーガは正しく深く実践しなければ意味がありませんし、効果もないことは自明のことです。
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ということで、西野流呼吸法の華輪は、誰でもが実践でき、効果の大きい、実に偉大な行法(専門的には「錬功法」と言います)の一つであると申し上げます。
「錬功法」の鍛錬を積むことで、その功(クン)が発揮される夫(フー)になれるのです。

★★初心者のうちは、うまく正しくは実行できませんが、奥が深いので、毎日やるうちに、可動範囲にしろ、それを動かす筋肉にしろ、発達して来て、背骨の軸もブレなくなり、足の親指もしっかり大地にねじ込むようになり、美しく華が開くような、効果的でダイナミックな華輪ができるようになり、効果の素晴らしさも実感できるようになります。

(なお、付随的には、ゴルフもうまくなるはずです。動作が共通していますから。)
では、今回は以上に致します。

皆様の上に、大日空王主の、亜熱帯地域の慈雨の如く、祝福と恵みが豊かに注がれますように。


碧海龍雨






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